私たち親世代は、俗に言う「バブル世代」で、1980年代後半は、「超売り手市場」にあり、企業の一括採用が普通のことで、大卒者は、さほど苦労せず就職できてしまいました。
親世代と子世代の企業探しの手法の違い
バブル世代 | ゆとり・さとり世代 | |
1位 | 大学キャリアセンターを利用 | 就職活動情報ナビサイト |
2位 | ハガキで企業情報を取り寄せた | 就職活動イベントに参加 |
3位 | 大学教員からの紹介 | 大学キャリアセンターを利用 |
4位 | 就活情報誌やパンフレット | 大学教員からの紹介 |
5位 | 就職活動イベントに参加 | 新卒向け人材エージェントを利用 |
バブル世代は、ハガキを送ると、企業から「入社案内」や「募集要項」が送られて、それに応じて、改めて履歴書を送ったり、説明会に参加したりして、筆記試験や適性検査などを経て面接、と言う流れが一般的だった。
Z世代はというと、就活情報サイトのウェブサービスを利用して、企業を探すというのが、圧倒的多数を占めています。3月1日の情報解禁日から、一斉にエントリーシート受付が始まり、企業への応募の意思表示をすると、書類選考、筆記試験、適性検査、複数回の面接を経て、6月頃から内定が出始めるという流れです。
コロナ禍以降、就活を大きく変えたのは、企業説明会や面接がオンライン化したことでしょう。親世代は、就活のために、慣れないリクルートスーツで身を固め、履き慣れない革靴やパンプスで、自力で、企業を回るというのが常識でした。今や、Z世代の常識は、スーツは上半身のみ、映り込むところだけを着飾れば良く、その代わり、声がきちんと届くか、周囲の雑音がきれいにカットされるか、画像がきれいに映るか、背景に余計なものが映り込まないか・・・など、服装より良質な通信環境に気を遣うことが常識になりつつあります。
一方で、自己PRや応募書類においては、対面であろうと、オンラインであろうと、基本は変わらないようです。「冒頭で結論をしっかり述べているか」は、昔も今も、担当者が次の選考へと進める際のポイントになるそうです。違いがあるとすれば、以前なら「人物本位」で、「うちの企業に合いそう」ならば採用されていたのが、現代は、「いい人」でも「うちの仕事に対する理解度が低く、入社後衝いてこられない可能性がある」として、不採用となるケースが増えています。今は、ビジネスモデルが、複雑化、かつ高度化しているので、企業が設けようとしている仕組みを予め理解した上で、就活を進めることが不可欠となっています。
大きく変わったと言われる就職活動ですが、実は、「新規学卒者の離職状況」を調べたところ、バブル期から現在まで、入社後3年までの大卒者の離職率は、3割前後と、全く変わっていません。したがって、「最近の若者は・・・」と言うものの、それを言っているバブル世代の親たちの、若い頃とそれほど大差はないことがわかります。ただ、バブル世代の多くが、現在の企業の管理職・経営層に君臨する今、今の若者たちが離職するという意味合いは、大きく変化しているように感じます。企業側・若手側双方ともそのことを自覚し、できれば不幸な離職だけは防ぎ、純粋に若手を育成するという目的を見失わないようにすることも大切だと感じます。
現在の管理職・経営層が、若手時代に抱いてきたものを「20世紀的価値観」とします。この方たちは、終身雇用が約束され、年功序列の職場の中でひたすら辛抱し、「①努力」すれば、次第に成果につながり、給料や職位もそれなりに上がって「②成功」し、将来的には経済的に余裕がある豊かな「③幸せ」が待っているというものでした。昭和的根性論のもと、家族も顧みず、職場での成功だけを夢見て必死に努力して報われた人たちと言えます。
一方、今の若者たちを「21世紀的価値観」と呼ぶことにします。すでにバブルは崩壊し、終身雇用や年功序列は企業の中では通用しなくなっており、親の会社が倒産したり、親の離職で無職になる姿などを目の当たりにして育った世代です。当然、就職した会社に依存することによる将来的保証は全く当てにできないということが、いやというほどすり込まれているわけです。そのため、日々働く中で「①努力」したからといって、働きがいや自分自身の成長を実感する「②幸せ」に必ずしも到達する保証はなく、「③成功」するためには、会社に頼るのではなく、自分自身が行動しなければならないと考える若者が増えているのだと思います。
これは、最近の若者が自分勝手になっただとか、我慢が足りないとか責めるのは、昭和世代からの一方的な見方であると思います。社会・経済が大きく変化する時代に就職しなければならず、自分自身の市場価値だけを頼りに生きていかざるを得ない若手世代の、健全な危機感だと捉えるべきではないでしょうか。
ちょっと前に、企業の人事担当者のツイートが物議を醸したことがあります。
給与や待遇にこだわる人とは仕事したくないわ・・・
すごいドストレートな表現!「昭和かよっ」って言いたくなるけど本音なんだろうな・・・
少なくとも 3年は我慢の仕事よね
今どきの子って・・・我慢とか考えないんだよね
そんなに待てないって言うか
定時帰宅 副業三昧なんて 100年早いわ
権限を持っている人が 変わろうとしない限り、若者はどんどん離れていきます。
昭和の時代、みんなが同じ方向に向いていて、それなりに企業が成長し、見合ったお給料を
手にできていた時代はとっくに終わりを告げました。
令和の働き方にアップデートしない限り、日本の企業は日本国内でしか通用しなくなり、
優秀な人材は新しいステージをもとめて、満足するまで転職を繰り返すのかもしれません。
でも、ちょっと うらやましい気もしないでもない。
コメント